問題解説: 新規プロジェクト1
問題文
我社では、新しい部署の開設に伴い新たなネットワークレンジを割り当てることになった。
担当者はメールで渡された情報に従ってコンフィグを作成し、新しく導入した機材に流し込んだ。
しかし、いざ設定してみると他部署のネットワークとの疎通が取れないことが分かった。
各担当者に問い合わせたが原因は特定できなかったという。
そこで、この問題を解決し、原因およびその根拠、また修正したコンフィグを報告してほしい。
担当者に送られたメール:
件名: ○○部署開設に伴うネットワーク情報まとめ
本文:
お疲れ様です。
○○部署で使うネットワーク情報についてのまとめです。
192.168.38.0/24、デフォゲは192.168.38.1
ipv6アドレスの割り当てなし。
新しく使うアドレス
192.168.39.0/24
ipv6アドレスの割り当てなし。
新しく導入した機材で192.168.38.39を介して192.168.39.0/24を接続し、RIPで社内LAN向けに経路情報を投げてください。
制約・情報
routerAの192.168.39.0/24のネットワークにPCを接続して192.168.37.1にPingが飛ぶように設定を修正してください。
PCは、2960Bのfa0/1に接続してください。
routerAは1941です、routerBは操作できません。
enable password : ZWKKEFzV
この問題に関係のあるIP及びvrfは192.168.37.0/24
,192.168.38.0/24
,192.168.39.0/24
,vrf05
です。それを除く他のIP,vrfは当問題とは関係ありません。
回答していただく項目は以下の通りです。
- トラブルの原因とその根拠(使用したツールやコマンド等も明記して)
- 修正したコンフィグ
問題のスタート
192.168.39.0/24に接続されたPCから192.168.37.1にPingが飛ばない
問題のゴール
問題を解決し、192.168.39.0/24に接続されたPCから192.168.37.1にPingが飛ぶように設定を修正する。
トラブルの概要
RIPのバージョン指定を忘れたときに経路情報は見えてるのにPCからPingが飛ばなくなる
解説
routerAではripのバージョンを指定せず、routerBのみripにversion2を指定した。
ciscoルーターの場合ripのバージョンを指定しなければversion1で動作するが、version2の経路情報も受け取るため、routerAでは192.168.37.0/24を受け取ることができる。しかしrouterBはversion2で固定しているため、version1の経路情報を受け取らない。
そのため、routerBには192.168.39.0/24が伝わらないため疎通が取れなくなる。
この問題はルーター2台のコンフィグを見比べて問題を特定することができない為、流れているパケットを読む(debugなど)必要がある。
routerAでdebug ip rip
コマンドで自分はversion1をsend、相手からはversion2をreceiveしていることが分かる
手元のRIPのバージョンを2に変更すると正しく疎通できるようになる。
回答例
1941でdebug ip rip コマンドを使用したところ、手元がRIPv1、対向がRIPv2を使っていることが分かりました。
そこで
router rip
address-family ipv4 vrf vrf05
version 2
と入力したところ、PCから正しくPingが飛ぶことを確認しました。
最低限これだけの情報が書かれていたらOKです。